女性芸人No.1を決める『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』で、ニッチェが初優勝し9代目女王の座に輝きました。
決勝はAブロック・Bブロックを勝ち抜いたニッチェと紺野ぶるま、そして視聴者投票枠で復活したエルフによる三つ巴の最終決戦という、かなりドラマのある展開に。
この記事では、過去最多1044組から頂点に立ったニッチェのネタの特徴や、紺野ぶるま&エルフとのスタイルの違い、今年ならではのルールや審査のポイントを、決勝戦に絞って整理していきます。
THE W 2025決勝の構図〜8組から3組への“圧縮された”戦い
今年のTHE Wは、まず決勝進出が12組から8組に縮小されたところから、例年と少し空気が違いました。
過去最多の1044組がエントリーし、その中から選ばれた8組が決勝へ。
決勝の顔ぶれは以下の8組です。
- 紺野ぶるま(松竹芸能・2年連続5度目)
- もめんと(マセキ芸能社・初)
- 電気ジュース(吉本興業・初)
- エルフ(吉本興業・4年連続4度目)
- ニッチェ(マセキ芸能社・7年ぶり3度目)
- とんでもあや(ソニー・ミュージックアーティスツ・初)
- ヤメピ(吉本興業・初)
- パンツ万博(吉本興業・初)
今年の決勝ルールは、
- Aブロック・Bブロックに4組ずつ分かれて1本目のネタを披露
- 各ブロックごとに審査員票で1組を決定(ブロック勝者)
- 敗れた6組の中から「もう一度ネタを見たい1組」を視聴者投票で選び、最終決戦へ
- 最終決戦は計3組が2本目のネタで勝負し、審査員7人の投票で女王決定
というもの。
その結果、
- Aブロック勝者:紺野ぶるま
- Bブロック勝者:ニッチェ
- 視聴者投票枠:エルフ
という、常連勢3組による最終決戦という形になりました。
ニッチェ優勝ネタのポイントは、「今の私たちにぴったりな2本」
9代目女王となったニッチェは、芸歴21年目・7年ぶり3度目の決勝という立場での優勝でした。
生放送後の会見で江上さんは、
- 「40歳をこえてから、勢いだけのネタはしんどくなってきた」
- 「しんみりめで、派手ではない地味なネタが多くなってきた」
- 「大会に持っていけるのか迷ったけれど、“今の私たちにぴったり”というネタを2本選んだ」
と話していて、今回の勝利が“勢い”ではなく年齢やキャリアをそのままネタに落とし込んだ結果であることがよく伝わってきます。
決勝でのニッチェのネタは、
- 1本目は「8割は座っているネタ」で、会話と演技でじっくり見せるスタイル
- 最終決戦では「できるだけ動きのあるネタ」を選び、“静と動”のコントラストをつけた構成
という2本。つまり、
- 1本目で「演技力と会話の妙」を見せて“ニッチェらしさ”を提示
- 2本目で「40代コンビでも全然走れる」「ちゃんと派手な決め技もある」と証明
という、キャリアの厚みを感じる2本立てだったと言えそうです。
紺野ぶるま&エルフ ─ “言葉の妙”と“ギャルパワー”がぶつかった最終決戦
最終決戦の相手となった紺野ぶるまとエルフも、それぞれにTHE Wらしい“武器”を持った組でした。
紺野ぶるま:言葉遊びと大人のユーモアでAブロックを制覇
紺野ぶふまさんは松竹芸能のピン芸人で、2年連続・5度目の決勝進出、昨年は準優勝という実績を持ちます。
言葉遊びや下ネタギリギリのラインを、大人のユーモアに昇華させるネタが持ち味。
今年もAブロックを満票で勝ち上がったと報じられていて、“ネタの完成度”で頭ひとつ抜けていた印象です。
エルフ:視聴者投票枠から最終決戦へ滑り込んだ“客席と一体になれるギャル”
エルフは吉本興業所属のコンビで、4年連続4度目の決勝進出。
荒川さんのギャルキャラを活かしたテンポの良いトークと、客いじりも含めた“現場の盛り上げ力”が武器。
Bブロックではニッチェに1票差で敗れたものの、「もう1度ネタを見たい1組」を選ぶ視聴者投票枠で復活し、最終決戦へ。
THE Wらしい強みのある3組の最終決戦に
この3組の並びを見ると、
- ニッチェ:じっくり見せる“等身大コント”
- 紺野ぶるま:言葉で刺す“大人の一人コント”
- エルフ:会場を巻き込む“ギャル漫才・コント”
という、タイプの違う「THE Wらしい強み」を持った3組の決勝だったことが分かります。
最後は、審査員7人の票が割れる接戦の中で、ニッチェが3票を獲得して優勝となりました。
審査員の川島明さんも「文句なし」と言うレベルの勝利であり、内容面でも評価された形でした。
今年ならではの見どころは、新ルール&“ガチ審査”の空気感
THE W 2025は、ルール面と審査の空気感でもかなり話題になりました。
決勝8組+視聴者投票枠という“圧縮ルール”
決勝進出枠が12組から8組に減り、そのぶん「全組が濃いメンツ」という印象になりました。
A・Bブロックでの勝ち抜けに加え、敗者6組の中から1組だけが視聴者投票で復活する仕組みは、“視聴者参加型”としても盛り上がりました。
視聴者投票枠からエルフが勝ち上がったことも含めて、「劇場勢・テレビ勢・SNS人気」
それぞれの力が混ざり合う今っぽい決勝構図だったな、という印象です。
粗品の“ガチ講評”を含めた審査スタイル
今年は霜降り明星・粗品さんが初の審査員として参加し、かなりストレートな講評がネットでも話題に。
賛否はありつつも、「ちゃんとネタで競わせる大会」という空気を強めた面もあり、優勝したニッチェも「大会に注目がいくようにしてくれてありがたかった」と感謝を口にしていました。
“お祭り”というより、「芸人同士の真剣勝負を、きちんと評価する場」としてのTHE Wが、ここ数年でよりはっきりしてきたように感じます。
歴代女王とのつながりと、ニッチェの“これから”
THE Wの歴代優勝者は、
- 初代:ゆりやんレトリィバァ
- 2代目:阿佐ヶ谷姉妹
- 3代目:3時のヒロイン
- 4代目:吉住
- 5代目:オダウエダ
- 6代目:天才ピアニスト
- 7代目:紅しょうが
- 8代目:にぼしいわし
- 9代目:ニッチェ(今回)
と続いています。
にぼしいわしが“THE W初の漫才優勝”として話題になった2024年に続き、2025年は既にテレビでおなじみだったベテランコンビ・ニッチェが初の賞レースタイトルを獲得。
マセキ芸能社としても、ピンを含めて事務所初の賞レース王者という快挙になりました。
会見では、
- 「マセキには“賞レース王者”がいないのを事務所の人も気にしていた」
- 「いつか錦を飾りたいとずっと思っていたので、ようやく恩返しができた」
と、事務所愛の強いコメントも。
個人的には、「若手の登竜門」になっていたTHE Wに、ベテランが“取りに来た”年として、2025年大会はかなり記憶に残る回になったなと感じました。
この優勝をきっかけに、
- ニッチェの冠特番や、ドラマ・CMなどの新展開
- 同世代の女性芸人への追い風
- 紺野ぶるま・エルフを含めた“決勝常連組”のさらなる躍進
など、女性芸人界全体の流れがどう動いていくのかも楽しみです。
まとめ
THE W 2025は、過去最多1044組の中から、7年ぶり3度目の決勝進出となったニッチェが優勝し、9代目女王に。
Aブロックを制した紺野ぶるま、視聴者投票枠から這い上がったエルフとの最終決戦は、ネタのタイプも立場も全く違う3組がぶつかる、非常に“THE Wらしい”決勝になりました。
40代になった自分たちの等身大をそのまま笑いにしたニッチェの2本のネタと、視聴者投票やガチめの審査も含めた今年の空気感は、“女芸人No.1決定戦”としてのTHE Wの成熟を感じさせる回だったと思います。

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