『【推しの子】』は、「推しのアイドルの子どもに転生する」という一見ファンタジーな設定から始まりつつ、アイドル・俳優・配信者など、エンタメ業界のリアルでえぐい部分まで踏み込んで描く作品です。
原作は赤坂アカさん×作画・横槍メンゴさんの漫画で、アニメはすでに第2期まで放送済み、第3期も制作進行中。
この記事では、まだ未視聴の方向けに「どんな話で、どこが刺さる作品なのか」をネタバレは最小限にして整理していきます。
推しのアイドルの“子ども”に転生するところから始まる物語
物語のスタート地点は、地方病院の産婦人科医・ゴロー。
彼はある日、自分の“推し”で国民的アイドルの星野アイの極秘出産に立ち会うことになります。
ところが、その直前にストーカーに襲われ命を落としてしまう…というショッキングな展開から物語は動き出します。
気がつくとゴローは、転生して“星野アイの息子・星野アクアマリン”として生まれ変わっており、さらにもう一人の赤ちゃん・ルビーも、かつての患者でアイの大ファンだった少女の転生だと判明します。
「推しの子どもとして生まれ変わるなんて最高!」
…と一瞬思わせておきながら、この世界はかなり残酷です。
アイドルとして生きる星野アイには、ファンには見せない秘密と、芸能界の冷たいルールが山ほどあり、アクアとルビーもまた、芸能界の波に飲まれていくことになります。
「推しの子」はラブコメでもあり、サスペンスでもある
『推しの子』は、ジャンルだけで言うと、
- アイドル・芸能界もの
- 転生ファンタジー
- ラブコメ・青春ドラマ
- 復讐サスペンス
このあたりが全部ミックスされた、かなり“盛りだくさん”な作品です。
表の顔は、
- 新生B小町のアイドル活動
- ドラマ撮影や舞台づくりの裏側
- 恋愛リアリティショーの現場
など、エンタメ作品としてもワクワクするシーンが多め。その一方で、
- 炎上や誹謗中傷
- 数字(再生数・フォロワー・視聴率)に追い詰められる出演者
- 事務所・制作サイドの打算的な判断
といった“画面に映らない部分”もしっかり描かれるので、見終わったあとにいろいろ考えさせられる作りになっています。
作品のテーマ① 「嘘」と「愛」: アイドルの笑顔は本物か?
『推しの子』を語るうえで外せないキーワードが、「嘘」と「愛」です。
アイドルは、
- ファンの前で笑顔を見せる
- 恋愛しないと“宣言”する
- 実際の自分とは違うキャラを演じる
そんな“嘘”を重ねながら、でもその嘘の奥にはちゃんとした“愛情”がある──という、矛盾した存在として描かれます。
作中のキャラクターたちは、
- ファンのため
- 自分の夢のため
- 大切な人を守るため
に、あえて嘘をつくことも多いのですが、その嘘が周りを傷つけてしまうこともあれば、誰かを救うこともあります。
「本当の自分」って何?
「嘘の笑顔」は、全部ダメなこと?
見る人それぞれが、自分なりの答えを考えたくなるテーマが、作品全体を通して流れています。
作品のテーマ② 家族と復讐:アクアとルビーの“目的”
双子の兄妹であるアクアとルビーは、「推しの子どもに生まれ変わった」という共通点はありつつ、目指している方向は少し違います。
- ルビー:アイのようなアイドルになることを夢見て、“表舞台”に立とうとする
- アクア:ある出来事をきっかけに、“ある人物への復讐”を胸に秘めて芸能界に入っていく
ふたりの行動の根っこには、
- 星野アイという“母であり推しである存在”への愛情
- 家族として過ごした時間の記憶
が強く残っていて、「推し=家族だった人」を同時に失った痛みを、それぞれ違う形で抱えているのが切ないポイントです。
この“家族と復讐”というテーマが、アイドル作品としてのキラキラ感と、サスペンスとしてのドロドロ感を同時に支えているので、単なる“芸能界キラキラアニメ”を想像しているとギャップにびっくりするかもしれません。
「推しの子」の楽しみ方〜これから見る人へ
まだ未視聴の方に向けて、初心者向けの楽しみ方も少しだけ。
まずはアニメ第1話(約90分のスペシャル)だけでも見る!ここまでで「この作品、追うかどうか」がだいたい決まります。
登場人物が多いので、「誰が正しい/悪い」よりも、「この人は今どんな気持ちで動いているんだろう」と考えながら見ると刺さり方が変わります。
メンタルがえぐられるシーンもあるので、1日に一気見するより、気持ちに余裕があるときに数話ずつ見るのもおすすめです。
恋愛・アイドル・復讐・家族ドラマ…どこに一番刺さるかは、人によってかなり違う作品なので、まずは「自分はどの要素が一番気になるか」を意識しながら見始めてみてください。
まとめ
『【推しの子】』は、「推しのアイドルの子どもに転生する」というキャッチーな設定から始まり、芸能界の光と闇、嘘と愛、家族と復讐といった重めのテーマまで描き切る、かなり振れ幅の大きい作品です。
キラキラしたアイドル活動の裏で、SNS炎上やメンタルの追い詰められ方など、目をそらしたくなる現実も描かれますが、そのぶんキャラクターたちが自分の足で立ち上がっていく姿には、何度も胸を打たれます。
まだ見ていない方は、とりあえず第1話(第1巻)だけでも試してみて、「自分はどの部分に一番心を持っていかれるのか」を感じてみてくださいね。


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